身近なお話

私の感想文
それは、過去だったり、現在だったり、少しだけ先に見えるものだったり

家出の訳、聞きそびれたっけ

猫の話を書こうと思ったのは、ついこの間のようで
実は、遠い、遠い昔だったのでしょう・・


それは、フーテンとあだ名をもらった虎治郎がちょくちょく脱走を繰り返したから
本当なら、この子の親はれっきとした我々人間である筈なのに?


そもそも、覚えているか?って聞いた処で、返答が返ってくる訳ないか!
しかし、死ぬか、生きるかを手助けして、成猫までに育てたのは・・
「はいはい・・解りました、それ以上は・・」トラはこの話題になると
聞こえているのか、理解しているのか、聞きたくないのか、
尻尾を立てて、すたすた・・と立ち去っていく(笑)


可愛い??猫への誉め言葉に必ず背を向ける
「何時か聞いてみたかった一つですわ・・」
「俺には、可愛いなんて世辞は通用しない」とでも言いたいふうです


いつもの場所は「冷蔵庫の上」
ここから「おっす・・!」と私を見下げるんですよ、生意気にも
「お~・・トラおはよう」と仕方なく見上げる飼い主
この動作をするのが虎治郎だけだった事、不思議ですが
我が家では、暗黙の大先輩だった証拠かもしれませんね


そのトラが、ある日突然家出をしたのです
「家出なんて、大げさな・・」と一泊の外泊から帰宅したトラが言いましたが
それは、それは、大げさな程、心配したものです
だって、「去勢した猫のテリトリーは半径500メートルぐらい」
獣医は自信たっぷりに私に伝えました
その範囲内だったら、帰路の道順を間違える筈がなく、必ず帰ってくると
その言葉を信じたからこそ、彼の脱走壁を許していたのです
そして、かくれんぼには、必ず私がほぼ勝利していたのですから


それは、夕暮れが近づいても、そろそろ餌の時間になっても
必ず帰宅したと合図するシルエットが見えない
という、シルエットとは
門扉の上に座るか、塀に寝そべるか、その姿がキッチンの窓ガラスに映し出される事
従って、私が炊事に立つと、此のシルエットが「ただいま~」の挨拶代わりだった


おかしいな??と彼の行きそうなところ、間違って眠ってしまいそうな場所
何よりも声にだして呼んでみるが、音沙汰がない・・
夜が深まると、眠れなくなった私は
「帰ってきたら、今度こそ、こっぴどく叱ってやるから・・」
息巻いては見るが
「その前に・・帰ってきてよ・・」と懇願する始末です


夜も更けて、眠りに負けた私は朝をを迎えてしまった
朝一番で、例のシルエットを探すが、やはりない
眠れぬほど心配しても、1日は始まる
家族は
「そのうち、帰ってくるって、猫ってそうした生き物だって」
のんきな顔をして、全員朝食をむさぼる・・
腹が立つほど、食欲はます・(笑)(´;ω;`)ウッ…
いまごろ、腹減らしているだろうな・・と考えながらも食事は喉を通る
むしろ人間様の方が、そういう生き物だったって事・・ね!!


そうして、老婆の留守役(なんの意味もない)を置いて全員、家を出る
職場についても心配と、やや不安とで仕事が手に着かない・・
(これは、やや嘘、そんなことをしていたら、即刻、首?)
さておき、仕事を終えて急ぎ帰宅・・
留守役に聞いてみる(なんの意味は、やはりなかった)
先ずは、トラの名前を連呼する・・が・・・・・・・
帰ってこない、どころか、姿も見せない
いつも寄り添って離れないコテツに聞いた処で
「しらないわよ・・私だって一緒に行きたかったぐらいだわよ」と返答?


2泊目、これはただ事ではない
車に跳ねられたか、それとも野良とやりあって、生き倒れているか・・
何よりも500メートルの枠内からはみ出て、帰る道が解らなくなったか・・
憶測が憶測を生み・・次第には、絶った2日目で
「あ~・・虎治郎が死んだかも・・」と結論が口から洩れそうになった
そんな矢先
外で聞きなれた声がする、慌てて戸口を開けると・・
「オニャー~・・ただいま・・」とでも言わんばかりに小さな口を開けて
「ニャーウー、ニャオー・・」と元気よくなく虎治郎
「ニャオー」だって・・あんたね・・」と安心した私は
「どこへ行っていたの・・今後こんな事をするなら、絶対出さないからね」
心配の果てと、安心とが入り混じると、結果、言っても判らな相手に愚痴っている私


その言葉が終るか、終わらないうちに、素早く家の中へと突入
真っ先に駆け付けたコテツとハグハグ・・
それをする相手、間違っていないか?とコテツにまで嫉妬する私


安心すると、怒り爆発が収まらない私、ガンガン言っていると
その前に、三つ指ついて正座する虎治郎
「お叱りは、後で受けるからよ~まずは腹減った。・・」
その姿に、泣き笑いの私
「う!もう!・・しょうがないな~」といつもよりたっぷり目の餌を与える
貪り食っている虎治郎に
「あのさ~・・ところで、夕べは・・」と切り出したいが
「うんとおたべ・・」としか口に出なかった私


それからも、何度となく脱走はしたものの、外泊だけはしなくなった虎治郎
あの日、一体何が彼をそうさせたのか、そして、どうして帰ってきたのか
結局、彼の口から聞き出すことは無かった私です



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